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積極財政で財政が健全化する〜シミュレーションで探る日本経済復活のシナリオ〜 |
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積極財政を唱えるシンポジウムは、平成不況が始まって以来初であり画期的であった。マスコミが積極財政に関する発言を厳しく制限しており、積極財政という言葉自身「禁じ手」に近い扱いをされている環境で、これだけの人数を集めたということは大成功と言うべきだろう。ノーベル経済学賞を受賞したクライン博士の参加の影響もありマスコミもそれなりに報道してくれた。その中でも外国のメディアが大きく取り上げたのが目立った。本来これは日本国内の問題であるのにも拘わらず、如何に日本のマスコミが偏向しているかを証明するものとなった。この情勢の中で積極財政に関してのシンポジウムを報道して下さった公正にして勇気ある国内のメディアに感謝したい。 |
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復活の会の幹事長である牧野聖修衆議院議員を始めとする何人かの国会議員の方も参加して下さった。更に衆議院議員高村正彦氏と衆議院議員で金融担当大臣の伊藤達也氏から祝電を頂いた。 |
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2.「“ジャパニーズ・ドリーム”実現に必要なこと」 |
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田中健介氏 株式会社ケン・コーポレーション代表取締役、日本経済復活の会顧問 |
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3.「積極財政で財政が健全化する〜シミュレーションで明らかになった驚きの事実〜」 |
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小野盛司 株式会社東大英数理教室代表取締役、日本経済復活の会会長 |
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リチャード・クー氏 株式会社野村総合研究所主席研究員 |
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宍戸駿太郎氏 国際大学・筑波大学名誉教授、日本経済復活の会顧問 |
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ローレンス R. クライン氏 ノーベル経済学賞受賞者 ペンシルベニア大学名誉教授 |
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ケン・コーポレーション社長 田中健介氏 |
アメリカンドリームがあっても、ジャパニーズ・ドリームが無いのはなぜかという問題に着目した。アメリカでは成功すれば莫大な富を手中に収めることができ、誰もが羨むような生活ができるし、自分の子供に富を引き継がせることができる。これがアメリカンドリームだ。しかし、日本では成功しても法人税や相続税が高すぎるため、折角の富が奪われてしまいドリームは実現しない。そういう社会では、若者の夢をつぶしてしまい彼らを無気力にしてしまう。今の日本を救うのは、法人税・相続税を含むあらゆる種類の税負担の軽減である。国民に夢と希望を与えるために住宅面積倍増を目標として掲げると良い。 |
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東大英数理教室社長 小野盛司 |
現在景気が回復したと言われているが、日経平均株価や銀行貸出残高の推移を見ても本格的回復とは、とうてい言えない現状だ。GDP比でみた国・地方の借金(借金の重み=借金/GDP)も増え続け、先進国では最悪となり、まだ増え続けている。緊縮財政をしてもこの比率は上昇が続いている。もし逆に積極財政にしたらどうなるか、日経のNEEDS日本経済モデルで計算をしてみた。驚いたことに、積極財政に転じると、逆に借金の重みは減っていくのだ。これには2つの理由がある。一つは景気がよくなるので、税収が増えて分子の借金は思ったほど増えない。もう一つはGDPの急激な増加で分母は大幅に増加する。つまり、「借金はいくら増えてもよい。それ以上に収入が増えればよいだけだ」ということになる。
例として借金の重みを減らす次の3つの事業を紹介した。@東京湾奥首都圏新空港A整備新幹線Bエコシップネットワークシステム構想。
結論として「痛みに耐えてじっと我慢しているだけでは借金は返せない。汗水流して、働けば、どんどん借金の重みが減ってくる」ということである。日本人の誇りは勤勉さであったことを思い出そう。 |
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株式会社野村総合研究所主席研究員 リチャード・クー氏 |
小野さんの分析に賛成する。現在の日本経済は需要不足に陥っており、レーガン就任時の米国が供給不足に陥っていたのと対照的であり、原因は構造問題にあるのではなくバランスシートの問題にある。不良債権があるために邦銀が金づまりを起こしているというのは間違いだ。なぜなら社債残高も減少が続き、外銀の貸し出し残高も増えず、銀行の貸出金利も低下が続いているからである。
バランスシート問題を引き起こしたのは資産デフレであり、例えば六大都市市街地・商業地の地価はピーク時から比べ87%下落した。その結果企業のバランスシートが悪化し債務返済に回った。それによりGDP比15%の需要減が生じた。このような状況でマネーサプライの激減をかろうじて止めたのは政府借り入れによる景気対策である。橋本内閣や小泉内閣が行ったように、バランスシート不況下での財政再建策は逆に財政赤字を増やす結果となり更なる緊縮財政へと進むこととなる。この悪循環を断ち切るには財政出動しかない。 |
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国際大学・筑波大学名誉教授 宍戸駿太郎氏 |
2004年は輸出が大きく伸び景気をよくしたが、これは次年度以降続かない可能性があり、デフレ傾向からの完全な脱出はまだ困難である。失業率はまだ高止まりしており、財政赤字も続き、政府債務のGDP比も増え続け、その結果緊縮財政が続いている。また巨額の経常収支の黒字も問題である。人口ペシミズム、財政ペシミズム、生産応力ペシミズムの3つが財政政策を硬直化させている。
80部門産業連関分析のシステムを内蔵する大型政策シミュレーションモデルを構築し、3つのシナリオを考える。
1.標準型:現状型政策を維持するが、公共投資は減らすのを止める。
2.拡大型:公共投資を15〜7%アップし、民間投資促進のための大規模融資を行う。
3.拡大型+消費税増税:2.の場合で2008年〜2010年は消費税を5%上げて
10%にしてみる。
この3つの比較から、次の結論を得る。
財政と金融の両サイドの協調で経済成長を加速すると、雇用と消費の増大のみならず、政府債務のGDP比率が低下する。消費税増税は財政の改善を促進するが、経済成長は鈍化するから消費税増税は2010年以降にするという選択肢も存在する。 |
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ペンシルベニア大学名誉教授 ローレンス・クライン氏 |
(クライン氏の話は、広範囲に渡っており、そのうちの一部のみを抜粋)
日本経済の課題は過去の良き時代の経済成長率を取り戻すことだ。それは実質成長率3%〜5%であり、できれば5%近くを望みたい。失業率は3%〜4%を目指したい。経済成長が始まったときには、国の借金は増えるが、借金のGDP比が増えるのは最初だけであり、長期金利を超えた経済成長が実現すれば借金のGDP比は減少してくる。
私の提案は、教育への投資である。高い教育レベルにより生産性が向上し経済の活性化に役立つ。
リチャード・クー氏の述べたように、バランスシートの問題は片づけなければならないし、それと共に生産性の向上も考えていかなければならない。
宍戸氏のモデルは説得力(plausible)がある。(この後、更に専門的なコメントが続きましたが、それは省略)。
小野氏は力強い経済成長を通じ、国・地方の借金のGDP比を減らすモデルを提示したが、これは大変魅力的である。(更に改良する方法を詳しく説明された。特に過去の経済データをちゃんと再現できるモデルであることを示すべきだと述べておられるが、これは日経新聞社のスタッフが総力を挙げて行ったことでありどの位見事に再現できるかは、日経新聞社発行のNEEDS日本経済モデル説明書に詳しく記述されている。この意味でクライン氏のこの疑問にはすでに答えてある。) |
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最後の質疑応答では、小野盛司が司会を務めた。質問・コメントを行ったのは宮尾尊弘氏(国際大学教授)、相馬康夫氏(新日本光産株式会社代表取締役)、長尚氏(社会資本工学研究所所長)、中村哲氏(新日本製鐵顧問)、高橋章氏(エコシップ構想の説明)であった。 |
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この翌日、場所を議員会館に移し、国会議員の皆様に集まって頂き勉強会を行った。 |
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日本経済復活の会のPRをした配布物を入場者全員に手渡した。100部用意したものが、足りなくなるほどの盛況であった。元首相の羽田孜氏も参加された。希望者には後で渡した。100人の席は用意されていたが、席が無くて帰ってしまった人もかなりいた。司会は牧野聖修さんが担当され、鳩山さんと高村さんが最初に挨拶をされた。 |
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