日本経済復活の会
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政府との質疑応答
平成19年9月12日提出
平成20年度予算の47兆3000億円という上限目標に関する質問主意書
提出者 滝 実
財務省は8月31日に2008年度の概算要求を締め切った。各省庁の要求を合算すると総額は50兆円強に上る見込みで、財務省は47兆3000億円という上限内に収めようとしていると報じられている。このことに関して質問する。
一 47兆3000億円という上限目標はどのようにして決められたのか。この数字の根拠を明らかにしていただきたい。
二 内閣府の発表によれば、日本の一人当たりの名目GDPは、1993年度、1994年度には世界一であったが、2006年度には世界18位まで下落したとのこと。このことを図1に示した。世界18位と言えば実に1971年度の水準である。1971年度から22年もかけて世界一豊かな国になった日本を、このように一気に貧乏にさせてもよいと政府はお考えか。今回の参議院選の与党大敗も、国を貧しくし、生活を苦しくした政府の政策への反発が一因であると考えるが、政府はこのような考えにどう対処しようとするのか。
図1
図1 一人当たりの名目GDPの国際順位
三 図2は名目成長率の国際比較である。この図より日本が極端に低い成長率であることが分かる。フランスは日本の2倍以上も経済成長をしているのに、まだ低すぎるとして、積極財政で成長率を高めようとしているし、世界各国、経済成長率を高め、国を繁栄させようと努力している中、日本はこれだけ低い成長率であるにも拘わらず、最大限財政を削減して成長を低めようとしている。日本のこれだけ低い成長率をさらに低めてよいとお考えか。
図2
図2 名目GDP成長率の国際比較(2006年度)
四 デフレ下の日本では、予算を増やせばGDPが増大し豊かになるし、逆に予算を減らせばGDPは減り貧しくなるのは自明の理である。47兆3000億円という額が今の日本にとって最良の額なのか、予算額を増やしたり減らしたりして、どのくらい日本が豊かになるか、あるいは貧しくなるかを示して頂きたい。
五 政府は、国の債務のGDP比が多いから、歳出を抑えなければならないという。しかし、無理な歳出削減に対しては、与党内からも従来の「歳出削減一本やり」では参議院選の惨敗から立ち直れないという危機感を背景に反発の声が上がっていると報じられている。例えば、公共投資を減らした場合、内閣府の試算によれば、少なくとも最初の1,2年は債務のGDP比は増加し財政悪化を招くとのことだが、誤差が大きくて試算自身が信頼できないというのが政府の見解だと理解している。そうであれば、現在の日本において、歳出削減は国を貧しく、デフレ脱却を遅らせるのは間違いないが、財政悪化を招くか、財政健全化に貢献するかマクロモデルによる試算では結論がでないというのが政府の見解だと思って良いか。
六 政府は歳出削減がGDPを減らし、デフレ脱却を遅らせることは熟知しているであろうが、その一方で歳出削減が財政健全化を導くかどうかは信頼できるマクロモデルによる試算で確固たる結論を得ていないようで、強引に歳出削減を続けており、それが国を貧しくし、国民を苦しめている。現在の日本において、歳出削減は本当にメリットがあるのか。その理論的根拠は何なのか。その理論に対する責任者は誰なのか。
七 8月1日、内閣府は2007年度の名目経済成長率の見通しを実質と同じ2.1%に下げると発表した。もともと2006年度にデフレ脱却をするというのは内閣の公約であり、今回の発表は2007年度もデフレ脱却ができないということであり、このように次々と経済見通しの下方修正を続けることに何の反省もないのか。
八 国民を苦しめている一つが社会保険料の値上げであり、これは増税と同様な意味を持っている。国の試算によれば、厚生年金積立金は2015年頃まで減少を続けるとなっていて保険料の値上げをしなければ年金財政が危なくなるとしている。しかし、実際は平成14年が141兆円、15年が145兆円、16年が147兆円、17年が150兆円というように、厚生年金積立金は増え続けている。ということは試算に誤りがあったということであり、適正な試算をしていたら、このように保険料の値上げは必要がないとの結論が出たところだ。つまり保険料の取りすぎということである。
マクロ経済スライドなどと称し、100年安心できる年金財政などと言っている。しかし、定率減税廃止で3.3兆円もの増税をしたのに加え、計算ミスが原因で不必要に高い保険料を取り、国民を苦しめ、経済を停滞させ、日本を貧乏にしてしまったら、100年後を目指して巨額の年金積立金をため込むことにどのような意味があるのか。
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