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政府との質疑応答
平成19年7月3日提出
経済財政基本方針2007における名目GDPの伸びに関する質問主意書
提出者 滝 実
経済財政基本方針2007(以下「基本方針2007」という。)における名目GDPの伸びに関して質問する。
一 財務省が6月25日発表した3月末時点の国の債務残高は前年比0.8%増で、この間の名目GDPの伸びは1.4%増だから国の債務のGDP比は0.6%減少、つまり債務のGDP比はすでに減少が始まっている。これは、内閣府の「進路と戦略」の試算結果(計数表)において債務のGDP比は2007年度から減少を始めて、計算結果の出されている2011年度まで安定的に減少が続くとなっていることと符合するのであるが、プライマリーバランスを回復する2011年度までにおける国の債務のGDP比の減少は結果的に減少するということなのか、国の債務のGDP比の減少を政策の目標に掲げているということなのか。
二 「基本方針2007」は、「進路と戦略」を引用して、2010年代半ばにかけては債務残高GDP比の発散を止め、安定的に引き下げることを目指すことを目標にしている。これは、2011年度までは債務残高GDP比の安定的な引き下げに真正面から取り組めないということを示すものではないのか。
三 政府に対する質問主意書で内閣府のシミュレーションの結果について引用すると、政府の答弁書には必ず「それは誤差が大きいのだから状況によっては(実は「どんな状況でも」)無視してよいのだ」と答えが返ってくる。このことについて分析すると、内閣府のシミュレーションが「積極財政で財政が健全化する」ということで行われたとき、このことと誤差に関して結論されることは次の2つのうちのどちらかしかあり得ない。
(1)このシミュレーションは誤差の範囲内で正しい。
(2)このシミュレーションは誤差が大きくて意味がない。
政府は国の税金を使って内閣府計量分析室で行ったシミュレーションが無意味だと主張するのか。
四 政府の平成十九年六月二十九日の答弁書によれば、耐震構造のシミュレーションに対しては、シミュレーションには誤差を伴うが、それでもどんな状況でもそのシミュレーションに従わなければならない。一方では、経済モデルによるシミュレーションは、状況によっては無視して良いと述べておられる。政府が、都合次第で勝手に原則を変えるのは許されないのではないか。
五 「基本方針2007」で2011年度における基礎的財政収支の黒字化や、2010年代半ばにかけての債務残高のGDP比の安定的な引き下げに対する平成十九年六月二十九日の政府の答弁書(二、四及び五について)は、「経済財政シミュレーション等の計量経済モデルによる計算結果は、誤差を伴うため、相当の幅をもって解釈すべきものである」ということであった。つまり、2011年度における基礎的財政収支の黒字化という目標も誤差が大きいのだということをお認めになったわけで、それではプラスマイナス何年の誤差があるというのか。
六 「経済財政運営と構造改革に関する基本方針2006」では、翌年度からの5年間の歳出削減は、総額11.4兆円〜14.3兆円となっていた。この方針は今でも変わらないのか。
七 11.4兆円〜14.3兆円という額ももちろん、シミュレーションで求めたものであろう。驚くべきことは、11兆円〜14兆円ではなく、11.4や14.3というように、有効数字が3桁になっていることである。これは有効数字が3桁もある、極めて誤差の少ない結果が得られたと、このシミュレーションは示している。「積極財政で財政が健全化する」ということが正しいかどうかを確認するには、有効数字が1桁で十分であり、3桁もの有効数字がある内閣府のシミュレーションならもちろん確認が可能である。政府の答弁書にある「試算には相当の誤差を伴う」の中の「相当の誤差」がそのように小さい誤差を意味するのなら、「積極財政で財政が健全化する」ということを政府で確認するのはもちろん可能であるはずであるが、このことに同意するか。
八 2004年に政府は100年安心できる年金を約束して年金改革を行ったが、100年安心できる年金を維持するためには毎年一定のGDPや賃金の上昇がなければならないはずである。政府はどの程度の上昇率を見込んでいるのか。
九 八の上昇率は2004年から2006年まで達成されているのか。また、その上昇率を基本方針2007では、どのように配慮されているのか。
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