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2006年4月24日 日刊建設通信新聞社
公共投資削減は財政再建に寄与せず
日建連、土工協、建設経済研究所
 日本建設業団体連合会、日本土木工業協会、建設経済研究所は、米国、カナダ、欧州の先進9カ国と日本の公共投資動向を比較・分析した、『諸外国の公共投資情勢調査報告書』を公表した。昨年秋に実施した9カ国現地調査をもとにまとめた。同報告書では第1部として、各国の財政状況と公共投資との関係を国際比較が可能な一般政府総固定資本形成額(Ig)のGDP(国内総生産)に対する比率、いわゆるIg比の国別比較などを中心に分析をしている。また第2部では、個別分析として、国ごとの公共投資政策の背景や概要、財源問題、事業評価システムのほか個別事情に応じた事業内容を詳細に分析している。
 第1部のマクロデータによる各国の公共投資動向比較では、日本の財政再建議論で現在指摘されている、「日本の一般政府Igの対GDP比率が欧米諸国に比べ高い」との見方に対しては、近年の日本の公共事業予算削減と欧米諸国が国際競争力向上へ戦略的に積極的な社会資本整備に取り組み始めていることから、比率は接近していると反論した。
 さらに、一般政府Igは、用地補償費や維持管理費が含まれていないことや、日本の予算配分では地方比率が高く、国の予算コントロールの数字としては、比較するのが不適切とした。
 その上で、日本の脆弱な国土や自然条件によって防災関係投資が不可欠で、欧米と比較して工事コストも割高にならざるをえないとして、防災関係投資と工事コスト増分が対GDP比で約1%分に相当、1%分を除けば欧米諸国と同等水準になると指摘した。
 また、日本の財政制度等審議会で提出された、「一般政府Ig対GDP比率について、公共事業関係分で比較すると日本は欧米諸国の3倍程度の高水準」とのデータに対しても、病院や、博物館、学校などの施設関係費が含まれる分類が除外されており、この分類も加えて、日本と欧米諸国とを比較すると水準がかなり接近することを示した。
 一方、財政収支の変動に、歳入総額、公務員人件費や社会保障関連費など経常経費の歳出や、用地補償費を除く公共投資である固定資本形成の歳出、その他支出の歳出の4項目がどの程度影響を与えるかを示す、「財政収支寄与率推移」を日本と欧米諸国ごとに提示した。
 分析結果では、財政収支の寄与度は経常経費が非常に高く、固定資本形成の財政収支に与える影響は相対的に低いとした。
 結果的に、公共投資削減だけでは財政再建にはつながらないことをデータとして指摘した格好だ。
 第2部の個別分析については、日建連と土工協がすでに、各国の公共投資の現状と日本の現状を対比させる形で分かりやすく説明した、『世界は今、日本の今 社会資本整備のみらいを世界の視点で考える』と題した小冊子を作成しており、今回の報告書ではより詳細な調査結果を盛り込んだ。
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